調査対象になりやすい法人の特徴

税務調査は、国税庁によって定期的に行われるもので、全ての法人が調査対象となる可能性があります。しかし、特定の特徴を持つ企業は調査の対象になりやすいと言われています。ここでは、税務調査の対象になりやすい企業の共通点と、その背景にある理由について説明します。

国税庁では、過去の申告や調査で蓄積された所得税や法人税の申告内容などの情報から売り上げや税額などを分析します。その分析結果で調査対象とする会社を決定します。

税務調査で不正発見の割合が高い業種

国税庁の実地調査の状況(R3)によると、税務調査で不正発見の割合が高い業種(法人税)は以下の通りです。

  1. その他の道路貨物運送業(32.8%)
  2. 医療保険業(31.2%)
  3. 職別土木建築工事業(29.6%)
  4. 土木工事(28.7%)
  5. その他飲食(28.4%)
  6. 化粧品小売(28.0%)
  7. 美容(28.0%)
  8. 機械修理(27.9%)
  9. 一般土木建築工事(27.3%)
  10. 貨物自動車運送(27.3%)

令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要(国税庁)

上記の通り、不正発見割合の高い業種は、現金商売が多い業種や、下請代金支払いが絡む業種高額な経費を計上する業種などが目立ちます。

税務申告で問題が発生しやすい業種

まず、税務申告においてよくある問題が発生している業種は特に注意が必要です。

飲食店、小売店、建設業や運送業など、現金取引が多く、売上の記録が不正確になりがちな業種では、税務調査の対象になりやすい傾向にあります。これらの業種では、適正な税額の申告を確保するためにも、正確な帳簿の記録と申告が求められます。

売上、利益の変動が大きい業種

次に、売上や利益が大きく変動する企業も調査対象となりやすいです。税金は前年度との比較で大幅に増減することが少ないため、極端な変動は国税庁の関心を引き、その理由を明らかにするために税務調査へとつながることがあります。

急激な売上げの伸びは国税庁の注意を引くことがあり、正規のビジネスプロセスで得られる利益か、あるいは不正な申告がなされていないかを調査の対象とされることがあります。特に、業界平均を大きく上回る利益率の変動は、追徴課税や立ち入り調査のリスクを高めます。

過去に税務調査で指摘を受けた企業

また、過去に税務調査で指摘を受けた企業は、再び調査される可能性が高くなります。以前の調査で見つかった問題が、改善されているか否かの確認や、同様の問題が他にもないかの確認目的で、調査されることが多いです。

税務調査では、売上、仕入、棚卸資産、交際費、人件費など、経理処理の基本となる勘定科目が重点的にチェックされます。このため、これらの勘定科目の管理が不十分な企業は、無意識のうちにリスクを高めてしまうことになります。